« 8月21日(日) 「クレッチマーしんちゃん」 | トップページ | 『怪獣ゴルゴ』(『GORGO』 1960年) »

2009年6月23日 (火)

『宇宙快速船』1961年

 

『宇宙快速船』1961

 なかなか見る機会を得なかった幻の傑作特撮映画? 少年たちに馬鹿にされながらもがんばる千葉真一(笑)、メーキャップがユニークな海王星人たち等々、楽しい映画でしたぞ。

冒頭、どかーんと火山が爆発して飛び出してきたのが「ニュー東映」のマーク。そして場面は谷川博士の研究所で開かれている少年宇宙研究会のセミナーに移ります。ここで6人の少年達に映写機でソ連最新宇宙船のルーニック2号を見せているのが若き天才科学者の立花真一(千葉真一)であります。少年達は「立花さんは谷川博士を手伝ってルーニック2号以上の宇宙船を作ろうとしているんでしょう、凄いなあ」と大感心。

 セミナーが終わって帰途につく少年達。彼らは楽しげに喋りあいます。「立花さん、頭はいいけど、この前劇場で与太者に絡まれて青くなっていたなあ」「あ、それにあの人カナヅチだぜ」「情けないなあ、カッコ悪いなあ」容赦のないガキども、じゃなかった少年達(笑)。「おい、もし立花さんくらい頭が良くっておまけに腕っ節が強いなんて人がいたらどうする?」「泳ぎも抜群だね」「もちろん拳銃もお手のものさ」

 そんなヒーローがいたらなあという少年達の願望がほほえましい。そして彼らはこんなことを言い出します。「もしそんなかっこいい人がいたらなんて呼ぶ」「うーん、そうだな、隼太郎はどうだろう」残りの少年達が全力でズッコケます。「幾らなんでも古臭いよそれは」ついに一人の少年が高らかに「じゃあ、アイアン・シャープにしよう」

 ぱあっとタイトルが出まして勇壮なアイアンシャープの歌が始まります。そして登場したアイアンシャープ、ロケットカーを駈って宇宙へ飛び出します。おお、なんかカッコいいぞ。

 さて、マクラはここまで。いよいよ本編が始まりますぞ。少年宇宙研究会の面々は小高い丘のうえにテントを張って、昼間ですが、上空を通過する人工衛星を観測しようとしております。さあ、諸々の準備を終えて、昼間ですが、観測だ、さっそく天体望遠鏡を覗き込んだ少年達ですが、彼らは衛星の代わりに何か妙な飛行物体を発見します。その物体はどうやら森の向こうに降りたらしい。「よーし、見に行こう」と人工衛星観測のことはすっかり忘れて駆け出す少年達であります。

 あっという間に件の物体を見つける少年達。ああ、なんということでしょう、それは野原に着陸していた宇宙船だったのです。垂直に立った胴体に長い後退翼がついているデザインが意外にカッコいい宇宙船だったのです。「うわー、すげー」と感動する少年達。しかし、ここで彼らの前に現れたのはイカの頭のようなヘルメットを被った宇宙人だったのです。驚いた少年達は逃げようとするのですがさらに宇宙人が出現、取り囲まれてしまいます。少年達、大ピンチ、このままだと宇宙船に連れ込まれて身体検査をされたり、怪しげな機械装置を埋め込まれたり、「人類はこのままだと滅亡するから核兵器の開発をやめなさい」と映画を見せられて説教されたり、宇宙の女の人とセックスさせられたりします。

 しかし、この危難を我らがヒーロー、アイアンシャープは放って置くはずがない!登場前に子供達に勝手に名前をつけられておりますが、そんなことを気にする風情もなくロケットカーでさっそうと現れたアイアンシャープ、たった一人で宇宙人たちに立ち向かい、パンチ、キックで追い払ってしまいます。ほうほうの態で宇宙船に逃げ込む宇宙人たち。

 彼らは次に黒雲を発生させて雷鳴を呼ぶという気象兵器を使って攻撃してくるのですがアイアンシャープは光線銃を一閃!兵器を壊してしまうのでした。これはたまらぬと宇宙船は空に飛び上がり逃げてしまいます。

 少年達は大喜び。アイアンシャープに駆け寄り「おじさん、ありがとう」おじさんはちょっと失礼じゃないかね、君(笑)。「アイアンシャープは本当にいたんだ、カッコいいなあ」アイアンシャープはそんな彼らにしゅたっと手を振ってロケットカーに乗り込み飛び去るのでした。

 アイアンシャープの活躍によって一度は撃退された宇宙人。しかしその後の東京に次々と異変が起こります。最初に時計が逆に動き出し、次にミュージックボックスのレコードも逆回転してゴーゴー踊っていた若者達を驚かせます。しまいには列車までバックしてしまいました。さらに東京中の電気が20分にも渡ってストップしたのです。

 この変事にいろめきたった記者達、谷川研究所へ詰め掛けるのですが、そこへしゃしゃり出てきたのが宇宙研究会の少年達、彼らは新聞記者に向かって「おじさんたち、僕達は朝霞山で宇宙人と宇宙船を見たんだ、襲われたんだけどアイアンシャープが助けてくれたんだ」まあ、誰も信じませんな。ただ、一社のみ、ネタ記事になるかと思い、カメラマンを少年達に同行させて宇宙船着陸現場を撮影することになります。

 現場に赴いたカメラマン、野原に着陸跡も何もないのを見てがっかり。「宇宙人が後から来て掃除したんかいの」と小粋なジョークを飛ばします。彼はやる気のないそぶりで写真を撮影して、帰っていったのですが子供達は見逃しませんでした。ストロボの光に反射して何かがきらりと光ったのを。少年達はその物体を手に取ります。それはどうやらアイアンシャープの光線銃で削り取られた宇宙船の破片のようであります。少年達は急いでこの破片を立花青年のところに持ち込むのでした。

 そうこうするうちに突然茨城の原発が爆発。キノコ雲が立って死者84名の大惨事となります。ほどなくアメリカでも原発が爆発。アメリカはこれをソ連のスパイ行為と非難、ソ連側も「そんなことは断じてない。これはわが国を貶めようとする米帝の陰謀だ」というおなじみのやり取りがありまして、すわ、第三次世界大戦の勃発かという緊迫した状況になってしまいました。

 しかし、これを打開したのが谷川研究所によるあの破片の分析結果。この破片は海王星にしか産出しないドギウム、パニウムの合金だったからです。谷川博士は防衛会議で「これは海王星人の侵略です。地球人はいがみ合っている場合ではありません。一丸となってこの驕敵を討たねばならぬのです!」

 海王星人もこの緊急声明を宇宙船のモニターで見ているという(笑)。

 海王星人に対する防御兵器。それは谷川博士の発明によるエレキバリアであります。三億電子ボルトの出力で上空5,000メートルに展開されるエネルギー障壁であります。襲来した海王星人の宇宙船、このバリアに向かってミサイル発射!しかしバリアによってはじかれてしまいます。宇宙人は第二波ミサイル攻撃を敢行、これもまったく駄目。ついに宇宙船そのものを突入させるのですが、これまた我がエレキバリアを突破することができません。すごすごと宇宙に向かって飛び去る宇宙船。

 地球人類、地球科学の大勝利。沸き立つ全世界の人々であります。しかし谷川博士は心配そう。「あの宇宙人が簡単に諦めるはずがない。必ず何か仕掛けてくるぞ」

 次の日、早くも博士の心配が現実のものとなります。あの少年達がエレキバリアの発電所に舞い降りてきた物体を発見したのです。それはバレーボールくらいの球体にアンテナがついた機械装置。子供達はさっそく立花青年のところへ持ち込むのでした。谷川博士と協力して分析した結果、これは宇宙人のメッセージ伝達装置だと判明。さっそく翻訳してみると「地球のバカヤローども、よくもやってくれたなこのやろー、でもただではすまさないぞ、地球は我々海王星人のものになるんだザマミロ」

 そのメッセージどおり地球に向かう宇宙船。到着時刻は1230分、来るならこい、またエレキバリアの餌食にしてくれるわと張り切る谷川博士達ですが、宇宙船はそのまま姿を消してしまいます。すると研究所の前で物凄い砂煙が発生。同時に黒雲がむくむくとわきあがって雷鳴がとどろきます。宇宙人の気象兵器です。

 研究所所員、子供達、配置の兵士たちは地下へ避難するのですが、この時雷が立ち木を引き裂いた!するとその木の後ろから唇を塗って、目が釣りあがっている一目で怪しいと分かる兵士たちが6人飛び出してきます。もちろん、これは言うまでもなく宇宙人の変装。どうやら先ほどの雷は彼らの転送装置だったらしい。

 彼らはライフル銃に見せかけた光線兵器で兵士達を次々と消滅させエレキバリアの発電所へ迫ります。そこで出会ったのが子供達。宇宙人たちは彼らを取り囲んで銃で消滅させようとするのですが、ここで颯爽と現れたのがアイアンシャープのロケットカー、彼は着陸したロケットカーから飛び出すと宇宙人達を光線銃で攻撃。撃たれた宇宙人は正体を現して消えてしまいます。次にアイアンシャープは発電所に潜入した宇宙人を追って飛び込むのですが、ああ、なんということでしょう、爆弾が爆発してアイアンシャープもろとも発電所がやられてしまったのです。おまけに他の宇宙人兵士が谷川博士を襲います。博士はかねて開発中のマイナスアルファー電子発射装置で宇宙人を撃退したものの、そのショックで意識不明の状態に陥ってしまいます。

 海王星人は陰湿なる攻撃の手を緩めません。彼らは再び気象兵器を作動させ全世界を寒冷化しようとします。夏なのに気温はぐんぐん急降下、しまいには雪まで降り始めます。犬は喜び庭駆け回り、猫は奥さんが急いで出したコタツで丸くなるという…。このままでは「第四次氷河期」だと怯える科学者たち。しかし、ある時を境にしていきなり気温が急上昇、元の気候に戻ったのでした。大喜びしながらもどうやって気象兵器を打ち破ったのだと首を傾げる子供たち。その疑問に答えたのが防衛庁長官による緊急放送です。「エレキバリアは健在です。ひそかに秘密研究所の方へ発電装置を移しておいたのです。そしてエレキバリアの熱で海王星人の気象兵器を無効化したのであります」

 いやー、ご都合主義もここまでくるといっそ清々しい(笑)。それにアイアンシャープの安否はどうなったんだ、子供達はあんなり気にしてなさそうだけど(笑)それはあまりに不人情というものではありませんか。

 しかしこのエレキバリアの使用によって地表へ着陸していた海王星人の宇宙船がバリア内に閉じ込められてしまったのです。やけになった海王星人は宇宙船より小型円盤二機を発進させます。これが東京のコンビナートやビル街に飛来して光線兵器による攻撃を開始したのであります。どっかんどっかん消し飛ばされる建物。東京タワーもやられてしまいました。

 この場面、爆発がやたらに派手で笑ってしまいます。せっかくミニチュアのデキがいいのにあんなに激しく爆発させたら返って安っぽく見えてしまいますよ。

 研究所員は意識のない谷川博士を連れて避難します。子供達、記者団も一緒です。しかしこの車列も円盤に襲われた!もはやこれまでかと思われたのですが、三度現れたアイアンシャープのロケットカー。アイアンシャープは円盤群と大空中戦を展開、これを撃破します。

 海王星人はさらに三機の小型円盤を発進させ、アイアンシャープに挑むのですがついにこの三機も撃墜されてしまいました。この時円盤の一機が秘密研究所に墜落し、液体酸素のポンプを破壊してしまいます。この修理に大露となる所員たち。一人が「おい、立花君はどうした、こんな大事な時にどこ言っているのだ」と叫ぶのがおかしい。この後立花青年は何事もなかったように帰ってきます。

 小型円盤を全てやられた海王星人、宇宙船にて最後の攻撃を敢行しようとします。しかし研究所には秘密兵器がありました。マイナスアルファ電子ミサイルであります。このランチャーが研究所の地面からせり上がりミサイル発射。宇宙船に殺到したミサイル群、見事これを破壊します。

 ラスト場面は立花青年と谷川博士のお嬢さん、そして子供達が歌うアイアンシャープの歌。いやあ、古臭いことは古臭いけど面白かったなあ。

 モノクロ・スクイーズシネスコ モノラル音声。画質は非常に優秀で破綻のない白黒映像が楽しめます。音質もいうことなし。東映ビデオのDVD

 エロの冒険者 
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

|

« 8月21日(日) 「クレッチマーしんちゃん」 | トップページ | 『怪獣ゴルゴ』(『GORGO』 1960年) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『宇宙快速船』1961年:

« 8月21日(日) 「クレッチマーしんちゃん」 | トップページ | 『怪獣ゴルゴ』(『GORGO』 1960年) »