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2009年8月 8日 (土)

『SF 最後の巨人』(『The Ultimate Warrior』  1975)

 

SF 最後の巨人』(『The Ultimate Warrior  1975

 疫病のために殆どの動植物が絶滅した2003年のニューヨークを舞台に、僅かに生き残った人間同士の弱肉強食の戦いを描いた作品。『ソイレント・グリーン』、『赤ちゃんよ永遠に』などに並ぶペシミスティックな未来SFであります。

冒頭映し出される荒廃した2012年のニューヨーク。良くある早朝の無人の街を映して人類は滅亡したと言い張る手法。しかし、さすがに凡百の低予算B級映画とは違って擱坐した赤錆だらけの貨物列車や取り壊し中のビルの瓦礫、薄汚れた廃ビルなどを上手く使ってなかなかの雰囲気を出しているのが救い(笑)。

 そんなビルの中に入り込んでいるハトたち。くるっくー、くるっくーと暢気に鳴いておりましたら、いきなり彼らを捕まえようとする男達が現れたのです。男達はハトを追い掛け回し6羽ほど捕まえるのですが、いきなり飛来した矢が一人の腹を貫いた!もっと凶暴な男達の出現です。男達は最初のちょっと凶暴な男達を捕まえハトを奪います。そしてナイフでぐさぐさぐさっ。ああ、なんと心温まる集団でしょう。

 この2012年、疫病で植物や動物が死に絶え人類は滅亡の危機を迎えておりました。とっくに無政府状態になっており、ニューヨークの町では小さな集団がいくつも暮らしており、他者を殺して食料を奪ったり、はては人肉まで食っているような有様。唯一、バロン(マックス・フォン・シドー)が指揮している集団のみが平和的。彼らは備蓄した食糧と井戸、ビルの屋上に拵えた農園で再生に成功した野菜でなんとか他者から奪わないですむ生活を送っていたのです。

 バロンは見張り所に上がり備え付けられた望遠鏡を覗きます。その中に見えたのは図書館(もちろん、元ですよ)の前に上半身裸という怪しい姿で突っ立っているユル・ブリンナー。バロンは首を捻ります。「あの男はもう2日もあのままだ。やっぱりこの辺で雇ってもらおうとしてあんなことをやっているのだろうか」考えていても埒は明きません。バロンは護衛の若い衆5人を連れて彼のところへ行くことを決意したのです。その後階下へ降りるバロン。この時胸を押さえて「くくっ」と顔をしかめます。なんでしょう、彼は重い病に犯されているということなのでしょうか。

 外へ出るバロンと若い衆。彼らの住処・要塞は町の一角を封鎖したもの。メインゲートを抜けていよいよ外へ出ます。そして裸の男に「おい、ユル、こんなところで何をやっているんだ」と尋ねるバロン。しかしユルは目を閉じたまま答えようとしません。難しい人です。バロンはさらに「君を用心棒として雇いたい。そのつもりでこんなところにいるんだろう。条件は通常の3倍の食料だ。水も豊富だぞ。それになにより」バロン、にやりとします。「葉巻が吸い放題だ」でもやっぱり目を閉じたままのユル。バロンはがっかりして「じゃあ、帰る、気が変わったら我々の住居はあそこを左に曲がって3番目の路地を右に曲がって犬の死骸を目印にもう1回左に曲がったところだから」

 戻ろうとするバロンと若い衆。しかし行きはよいよい帰りはコワい、いきなり暴徒に囲まれてしまったのです。そして若い衆の一人があっというまに捕まってでかい石で頭をごりんと潰されちゃった。これは酷い(笑)。暴徒はバロンと残った若い衆に迫ります。これはもう絶対のピンチかと思われたのですが、ここに現れたのがユル・ブリンナー。これが意外に強く背中のホルダーからナイフを抜くとすばやい動きで次々に暴徒を刺殺するのです。慌てた暴徒はひーっと逃げてしまいました。

 これでユル・ブリンナー、当初通りの条件でバロンたちに雇われることになったのです。

 近くのビルの屋上からキャロット(ウィリアム・スミス)という男が双眼鏡でこの様子を見ています。彼は周辺でもっとも凶暴な一団を率いる男。彼はユルを連れて要塞に戻るバロンたちを見て「ウウーム、用心棒に雇ったのかな、食料も残り少ない筈なのにどういうつもりなのだろう」

 ユル・ブリンナーの名前はカーソン。彼はバロンの部屋で問われるままに自分の素性を話すのでした。彼はいつまでもここにいるつもりはなく、いずれ家族がいるノースカロライナ沖の島に行くというのです。そこは疫病を逃れた島で食料も豊富といういわば天国のような場所でした。

 カーソンを迎えたバロンの集団ですが、実は問題が山積み。ここも食料が枯渇しかけていたのです。若い夫婦、ロバート(ステファン・マシェッテ)とバリー(レーン・ブラッドバリー)は自分達の赤ん坊のミルクがなくなってうろたえているし、夜は夜で屋上農園でトマトを盗む奴もいる。おまけにキャロットたちはこちらの井戸を虎視眈々と狙っているという・・・。

 そしてカーソンを雇ったバロンの真意が明らかにされます。「ここにはバイオ技術で植物を蘇らせたカル(リチャード・ケルトン)という天才がいる。彼の力でもっともっと植物を繁栄させることができる。しかし、ここでは無理だ、新しい土地が必要なのだ。そこで彼を君が行こうとしている島に連れて行って欲しい。これは私たちのためだけではない、人類のためなのだ」おお、立派なことを言う人だと思ったらすぐに、「あ、ついでに娘のメリンダ(ジョアンナ・マイルズ)も連れていってね。彼女、妊娠中でもうすぐわしの孫が生まれるんだ」

 ちなみにこの計画は他の人たちには絶対秘密。なぜなら「わしが自分の娘だけ贔屓して救おうとしていると誤解されるから」というのですが、誤解も何もその通りじゃないですか(笑)。

 そんな中、バリーはミルクが残っているのではないかと噂されていた向かいのパン屋に赤ん坊を連れて向います。自分ひとりの力でミルクを見つけようというのです。これに気がついたロバートも追ってきて、二人で苦労して食料貯蔵庫と思われる扉を開けたのですが入っていたのは書類だけ。泣き崩れるバリーであります。さらに悪いことにキャロットたちに見つかって、殴られたり首を絞められたりして、あっさり殺されてしまったという・・・。キャロットは残された赤ん坊を見て「ふふふ、よき餌となるわい」だって。なんだかもういやな映画だなあ(笑)。

 その夜泣き叫ぶ赤ん坊の声が聞こえてきます。カーソンは「まあ、私は他の人の3倍食料を貰ってますからな、仕方ありませんよ」とバロンの反対を押し切って救出に行きます。パン屋に入った彼が見つけたものは、わあ、ロバートの死体だ、わあ、バリーの死体だ、ひいい、赤ん坊の死体だ、これは酷い!さらに待ち伏せしていたキャロットの部下達が襲ってきた。カーソンは彼らを振り切るとダムウェーターの中に飛び込みよじ登って屋上へ逃れたのです。そこから別のビルの屋上に飛び移って非常階段を使って地上へ。そして闇にまぎれてなんとか要塞にたどり着くことができたのでした。

 「みんな死んでいた」というカーソンの報告を聞いてがっくりする住民たち。

 その後も事件が起こります。食料の配給を巡って小競り合いが起こったのです。この時バロンにやり込められた男、部屋に帰ってなにやら取り出しましたって、これはトマトじゃありませんか。この男が屋上農園からトマトを盗んでいたのです。彼はそのトマトを仲の悪い男の部屋にそっと置きます。

 翌日、ハメられた男はバロンによって「お前は追放だから出て行け」と言い渡されたのでありました。

 可愛そうに濡れ衣を着せられた男、寄ってたかって手を縛られ、頭に袋を被せられて追放されてしまうのであります。それを目ざとく見つけたほかの集団の人間たちがわらわら出てきてあっという間に男を殺害。衣服などを奪うのでした。

 こんなことが起こるのも食料が少なくなってきたからだと心配したバロン、カル・カーソン・メリンダにすぐ出発した方がいいと提案するのでした。メリンダのお腹の子供の父親であるカル、え、そうだったの?はここから出て行きたくはないようですが、バロンに言われちゃ仕方ない。しぶしぶ承知します。

 しかし、悲劇はその夜に起こりました。キャロットたちの部下4人がビルに立てかけた板を使って屋上農園に侵入してきたのです。物音に気がついたカルが「何をするんだ、やめろ」と襲い掛かったのですが何しろ多勢に無勢、無理やり抱えあげられて「ソウレ!」屋上から放り投げられてしまったのです。地面に落下したカルは即死してしまいました。彼の悲鳴で駆けつけたカーソン、ナイフでざくざく殺します。残った一人も他のみんなに抱えあげられて「ソウレ!」カルと同じように屋上から放り投げられるという・・・。

 カルの死を知ったメリンダは大ショック。カルがいなければ島へ行く意味がないと言い出します。困ったバロン、一計を案じて「まあ、このお茶でも飲んで心を静めなさい」と睡眠薬入りのお茶を飲ませたのであります(笑)。彼は眠りこんだメリンダをカーソンに託し、地下室から鋼管トンネルを通って地下鉄へ至る道を教えたのです。種と取って置きの缶詰を渡して、「娘を頼んだぞ、途中でお産になると思うがなんとか上手くやってくれ」頷いて出発するカーソン。

 バロンは部屋へ戻るのですが、この様子を他の住民に目撃されておりましてすぐに石が投げ込まれ「やい、じじい、あいつに食料ぜんぶ渡したな」大勢で押しかけてきます。そして一人の女が「リンチよ」と叫んだのを合図にもうみんなで殴る蹴るの乱暴。こん棒でぼっかんぼっかん殴っている奴もいましてすぐにバロン、血まみれとなって死んでしまいましたとさ。

 この後すぐにトマト男が裏切ってカーソンとメリンダが野菜の種を持って逃げたことをキャロットに知らせるのです。キャロットは追跡の名人ハークネス兄弟に追跡を命令します。え、裏切り者のトマト男はどうなったって?必要なことを聞き出したとたんに、キャロットにぼうぼう燃えている竃に押し付けられて「ジューッ!」こんがり良い加減に焼かれてしまいましたとさ。

 さて、カーソンに抱きかかえられて鋼管トンネルを進むメリンダ、目を覚まして自分がどこにいるのか知ると、「ギャーッ」という当惑の悲鳴を上げます。これがハークネス兄弟に聞きつけられちゃった。地下鉄に逃げ込んだカーソンとメリンダですが、彼らを振り切ることはできません。カーソンはならばということでたいまつの火を消して待ち伏せ。見事一人を血祭りに上げたのですが、この時残りの二人はキャロットたちを呼びに行っていたのです。さらに不味いことにメリンダがもう今にも産気づきそうな状態であります。

 カーソンは先行して追ってきた男をもう一人殺害。しかし、この時メリンダが「ああ、もう駄目よ、生まれちゃう」カーソン、メリンダを残っていた地下鉄車両に連れて行き、そこで出産をさせることになります。ひっひっふー、ひっひっふーと気張るメリンダ。間もなく玉のような男の子が産み落とされます。しかし、赤ん坊、それも生まれたてなんてのは泣くに決まっている。この鳴き声でキャロットたちはカーソンを発見し、襲い掛かるのでした。

 そして例によって例のごとくカーソンの剣の舞ならぬナイフの舞でざっくざっく殺されていきます。残った部下二人はびびって「おたすけえ」と逃げてしまいました。そしていよいよキャロットとカーソンの一騎打ち。キャロットは長いロープの先に鉄球をつけたものをぶんぶんと振り回します。そしてカーソンのナイフを弾き飛ばしてしまいました。カーソン、ロープを手首に巻きつけて止めて起死回生を狙うのですが、逆に引きずられてしまいます。カーソン、絶対のピンチと思いきや「わあ」急にキャロットの姿が消えてしまいました。なんと彼は何故か都合よく蓋が開いていた縦穴に落ち込んでしまったのです。

 キャロットはロープで宙吊りになってしまいました。しかし、このままではカーソンも引きずられて落ちてしまいます。彼は近くに転がっていた敵側の武器、斧を取り上げてロープを切ろうとするのですがどうしても上手く行きません。彼の力はだんだん弱っていきます。キャロットは「けけけ、一緒に地獄行きだ」 しかし、ここでカーソンは決意します。彼は斧の狙いをロープに巻かれた自分の手首に定めると「いつまでもお前の好き勝手にはさせん、正義は必ず勝つ!」と叫んで振り下ろします。見事手首が切断され、キャロットは凄まじい悲鳴を上げながら落下したのです。彼は底に叩きつけられてもちろん即死。

 一方、切断した手首の痛みに絶叫するカーソン。彼は最後の力を振り絞って落ちていたたいまつまで這っていくと炎の中に手首を突っ込みます。じゅじゅじゅじゅー、「うぎゃああああ」こっちも物凄い悲鳴だ。これでなんとか止血を果たしたカーソン、メリンダと赤ん坊を連れて旅を再開することになります。

 彼らが地上へ出て海岸に到達したところでエンドクレジット。

この映画は未見だと思っていたのですが、最後の最後、ユル・ブリンナーが自ら手首を切り落とす場面で「あ、おれ、これ見たことあるわ」 見たと言ってもレンタル・ビデオなどではなく、それこそ小学生時分にテレビの日曜洋画劇場あたりでの話。映画自体も小学生の「わあ、怪獣出てくるんかいの、宇宙人でてくるんかいの」という期待とは裏腹のはげのおっさんが出てくる非常にペシミスティックな未来世界ものでしたから、あんまり印象に残っていないのも無理はないと言えましょう。

 カラー・ビスタサイズ WOWOWのハイビジョン放送。暗部にノイズが目立ちますが発色が非常に良く「DVDとは違うのだよ」というハイビジョンの威力を見せ付けてくれるよう。モノラル音声はクリアで台詞が非常に聞き取りやすい。

エロの冒険者 
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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