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2010年1月29日 (金)

『タイム・マシン 80万年後の世界へ』(『The Time Machine』 1960年)

 『タイム・マシン 80万年後の世界へ』(『The Time Machine』 1960年)

 時間をテーマにした映画らしく、冒頭登場する色々な時計。原始的な太陽時計、砂時計、機械仕掛けの時計、目覚まし時計、腹腹時計(ウソ)、そして全ての時計の親玉?であるビッグベンが映った後で、タイトルが出ます。

 1900年1月5日のロンドン、発明家・科学者H・ジョージ・ウェルズ(ロッド・テイラー)の屋敷に友人のフィルビー(アラン・ヤング)を始めとする4人の紳士たちが集まります。彼らはジョージから夕食会の招きを受けたのですが、約束の午後8時になっても当の本人が現れないのでいらいらしています。「あー、腹が減った、人を呼んでおいて待たせるなんて最低だ、無礼だよ」腹がぐーぐーなっているものですから、みんな怒りっぽくなっております(笑)。

 その彼らにジョージからの手紙を渡したのが家政婦のワチェット夫人(ドリス・ロイド)。読んでみますと「私が間に合わない場合はみんなで勝手に始めていてくれ」これでみんな大喜びして食卓につきます。そしてワインがいきわたったところで「かんぱ、わあ」ぼろぼろの姿で食堂に飛び込んできたジョージ。みんな仰天して、一体何が起こったのかと問いただします。

 ワインを一杯飲んで気を落ち着けたジョージは去年の大晦日から今日までの5日間に起こったことについてゆっくりと語りだすのでした。

 1899年12月31日。ジョージは同じ4人の紳士達に自分の発明品を披露しておりました。「ふふふ、私の発明品はちょっと凄いのです。画期的な時間に関する発明なのです」ここでフィルビーが「おお、すると新原理による正確無比な時計が出来たのかい、それは役に立つな!」派手にずっこけるジョージです。「いや、違う、違う。私の発明品は四次元をコントロールするものだ。一次元は点、二次元は平面、三次元は立体、四次元はそこに時間が加わる。つまり私は時間旅行を出来る機械、タイムマシーンを発明したのだ」

 彼はテーブルの上の箱をぱかっと開けます。そこにあったのはタイムマシンの実験用ミニチュアモデルでした。

 紳士達は興味深そうに精緻に作られたその装置を見つめて「で、これでどうすんの、どうやって時間計るの?」再びずっこけるジョージ。「いい加減時計から離れなさいったら、これはタイムマシーン、ほら、操縦席についているレバーを前に倒せば未来へ、後ろに倒せば過去に行くことができるのです」ジョージは早速レバーを前に倒します。するとタイムマシン後部の大円盤がぐるぐると回転を始めました。こんな小さな機械なのに凄いパワーで屋敷自体も地震のように揺れ動きます。そしてぱっと消えたタイムマシーン。ジョージは驚く紳士達に向って「ほら、言ったとおりでしょう。あのマシンは100年後の未来に向って旅立ったのです」

 素晴らしい発明です。しかし紳士達はそうは思わなかったようで、「それでこれ何の役に立つの?お金儲けできないんじゃないの、こんなのじゃ、それに戦争にも役立ちそうにもないし」あっさり興味を失ってしまいました。彼らの関心はすぐに新年の祝い酒へ移ったようで、「じゃ、新年おめでとー」と言いつつ帰ってしまいましたとさ。

 後に残ったのはフィルビー一人だけ。彼はジョージがあまりに装置に執着しているのを見て心配になり、「装置を壊して忘れるのが一番だ」と言うのですがもちろんジョージに聞く耳なし。ため息をついたフィルビー、「くれぐれも無茶だけはしないように」と帰っていくのでした。ジョージは彼に「5日に夕食会開くからみんなで来てくれよ」と言い残して実験室へ。扉を開けると、おお、そこにあるのは大型のタイムマシーン。すでに彼の研究は完成していたのです。

 彼はタイムマシンに乗り込んでレバーをちょっと前に。すると、時計が8時間進んでいる!8時間だけ未来に来たのだ、実験は成功だ。小躍りした彼はまたぐいとレバーを前に倒します。すると時間がどんどん進んで花が開いて咲いて枯れるわ、カタツムリが高速で動き回るわ、屋敷の前にある洋服屋のショーウィンドウでマネキンのドレスがどんどん変わるわ、えらい騒ぎ。そして17年を経過した時、急にあたりが暗くなります。不思議に思ってマシンを停止させたジョージが見たものはもうぼろぼろになった無人の屋敷でした。

 彼は家の玄関を封鎖しているドアを破って外へでます。17年後のロンドンは大きく様変わりしており、見慣れぬ機械が道路をぶいぶい走っております。これは自動車なのですが、そんなものを知らないジョージは仰天してしまうのでした。と、彼の目に懐かしい人物が、フィルビーです。しかし、このフィルビー、似合わぬ軍服を着たりして何か様子が変。それもその筈、このフィルビーはジョージの知っているフィルビーの息子の方だったのです。彼の話によると、1914年からドイツと戦争が始まり、父フィルビーは一年前に戦死してしまったとか。そしてジョージの屋敷はフィルビー父が管理していたのですが、「ジョージがきっと帰ってくる」と訳の分からないことを言って決して処分しようとしなかったというのであります。

 悄然となってマシンへ戻るジョージ。再び未来へ向います。今度到着したのは1940年、ドイツ空軍によるロンドン空襲の真っ最中でした。ジョージは空を飛ぶ機械を見て驚きますが、ゆっくり見物などしている暇はありませんでした。火災が彼の屋敷へ迫ってきたからです。慌ててまた未来へ向うジョージ。

 次は1966年。彼の家はなくなり公園になっていました。周囲を見渡したジョージ、ロンドンが超近代的な都市に生まれ変わっているのを見てうっとり。「やっぱ人類は素晴らしいや」しかし、こう思ったのもつかのま、いきなりサイレンが鳴り響きます。すると人々がどやどやと地下鉄構内へ逃げ込んで行くではありませんか。何が起こっているのか分からず立ちすくんでいる彼に声を掛けたのは、ああ、これはフィルビーだ。前にあったときより50歳も年取ったフィルビーだ。彼は放射能防護服を着ているぞ。「核が爆発するぞ、早く逃げるのだ」フィルビーはジョージの顔を見て「ふむ、どっかで会ったことがあるな・・・、そうだ1917年だ、覚えているぞ」しかし彼は自ら首を振って「いいや、そんなことがあるはずがない、あんたはまったく年取っていない、服だってそのままだ」

 この時またサイレンが鳴り響きます。「あ、もう時間の余裕がない、すぐ地下鉄に入れ」フィルビーはさっと逃げてしまいました。その後すぐに炸裂する核爆弾。ロンドン上空にキノコ雲が立ち上ります。あれほど近代的な威容を誇っていたロンドンはあっさり破壊されてしまいました。おまけに火山が爆発、溶岩がどろどろと流れ込んできたのです。この溶岩は道路の割れ目にずぶずぶとしみ込んでいったので、おそらく地下鉄構内に逃げ込んだ人々は蒸し焼きになってしまったことでしょう。ああ、恐ろしい。

 ジョージはほうほうの態でマシンに戻りまた未来へ向います。その後すぐにマシンの周囲は岩盤で覆われてしまいました。どうやら溶岩に飲み込まれてしまったらしい。この岩盤がなくなるまで外に出られなくなってしまったのです。仕方なく未来へ、未来へと進むジョージ。そしてようやく岩盤がなくなったのが802,701年後だったという・・・。幾らなんでも進みすぎだと思うぞ(笑)。

 この時代、地球はどうやら平穏を取り戻しているようであります。豊かな自然があふれ、美しい花があちらこちらに咲いております。しかし、人間の姿はなし。ジョージは人間が作ったと思しきドーム状の建築物を見つけて中に入ってみるのですが、屋根はぼろぼろ、丸いテーブルに食器が置かれているものの、やはり人間はいません。

 ジョージは絶望しかけたのですが、ついに彼は発見します。川遊びに興じる人間達を。「むむっ、川で水浴びして果物を食うのか、いいね、オーガニックだね、ロハスだね、無農薬有機野菜だね、無添加だね、人間らしいね、楽園だね」ところがこの時人間の女性が川に落ちてしまいます。女性は悲鳴を上げるのですが不思議なことに誰も彼女を助けようとはしません。黙っておぼれているのをみているばかりです。たまりかねたジョージ、彼女を救うべく川に飛び込みます。

 しかし他の皆さんは相変わらずぼけーっとして助けるそぶりもありません。抜き手をきって泳いだジョージ、なんとか女を助けることができました。

 その後みなさんは例のドーム型建築物へ戻ります。ここでジョージは助けた女ウィーナ(イヴェット・ミミュー)とお話。とりあえず言葉は喋れるようですな(笑)。しかしどうも彼女の話すことはぼんやりとしていて埒が明きません。「何故みんな君を助けないのだ」「意味がないからよ」「私が誰でどこから来たのか興味ないのか」「ないわ」

 たまりかねたジョージは「もうちょっと年配の人と会わせて欲しい」というのですが、ウィーナはそっけなく「そんな人いないの」まあ、彼らの種族がイーロイと呼ばれていることだけが分かっただけでもましというもの。

 夕暮れが近づいてきました。ウィーナはちょっと慌てた様子で「暗くなったら外に出てはいけない」ジョージをドームの中にひっぱりこむのです。中ではみんな果物をばりばり食ってます。お相伴にあずかるジョージ。そして彼は周囲の人間にまたなにくれと話しかけるのですが、こっちもウィーナと同じくまともな答えが返ってきません。「政府はあるのか」「ない」「法律は?」「ない」「仕事は?」「ない」「学校は?」「俺たちゃ学校も試験も何にもない」「鬼太郎か、お前は」

 ここでジョージ、はっと思いついて「本はないのか、君たちの文明を学ぶにはそれが一番だ」と聞いてみると「ある」というではありませんか。彼はドームの中の図書室?らしいところへ連れて行って貰います。本棚に並んだ本を見て歓声を上げるジョージ、しかしそれはすぐに失望の呻きへと変わってしまいます。並んでいた本がどれもこれも「水からの伝言」とか「ゲーム脳の恐怖」とか「人類の月面着陸は無かったろう論」とか「リアル鬼ごっこ」とかのトンデモ本だったからです。

 「こんなものばっかり読んでいたからみんなぼやーっとしてしまったのだ。と学会を知らんのか」…ってウソですからね(笑)。

本当はこうです。

 彼はドームの中の図書室?らしいところへ連れて行って貰います。本棚に並んだ本を見て歓声を上げるジョージ、しかしそれはすぐに失望の呻きへと変わってしまいます。並んでいた本はどれもこれも腐ってぼろぼろになっており読むどころかページをめくるだけで  崩れてしまったからです。

 ジョージ、ついに切れてしまいました。「本をこんなにしやがって、君らは文明を捨てたのだな、私はこんなところにはいられない。元の時代に返る」ウィーナの制止を振り切って外へ飛び出すジョージ。そしてタイムマシンのあった場所へ戻ったのですが、なんと、タイムマシンがなくなっているではありませんか。地面に引きずった後があり、どうやらスフィンクスのような彫像が屋根に据え付けられている建物の中に引き込まれてしまったらしい。ジョージは焦って鉄の扉をがんがん叩くのですが何の反応もありません。

 すでに周囲は暗くなっていました。何かがちらちらと動き始めます。ジョージが正体を確かめようとマッチに火をつけると悲鳴を上げて逃げていきます。どうやらこいつらは火に弱いらしい。また動いた、あ、これはウィーナだ。彼女は暗くなったら外へ出てはいけないというタブーを破ってまでジョージを助けに来てくれたのです。

 彼女の説明によればちょろちょろこちらを伺っている生物はモーロックで、彼らがイーロイに食料や服を与えているのだとか。その代わり彼らの命令に従わなければならないというのです。ジョージは枯れ枝を集めて火をつけモーロックを近づけないようにします。

 イーロイはどうやら火というものを知らないらしい。ウィーナは燃える炎に触ろうとするのです。「危ない!」とやめさせるジョージ。「ウウーム、火も知らないのか、もう私の時代で言えばバリ島へ行ったようなものだな」ってそれはあまりに酷い台詞ではないですか(大笑い)。

 これで一夜を過ごしてすっかり仲良くなったジョージとウィーナ。翌朝、二人は地面に杯を伏せたような形の穴を見つけます。どうやらこの穴はモーロックたちの地下居住地へ続いているらしい。ジョージはこの穴の底からごんごんという音が聞こえてくるのに驚いて「何の音だね」「機械の音よ」とウィーナは答えます。「何故知っているのだ」「喋るリングが教えてくれたの」この喋るリングというのは何かの記憶装置らしい。ウィーナに連れられて機械類が置いてある場所、これはドームの中かな、に連れて行かれたジョージ、丸いテーブルの上にリングが置いてあるのを見つけます。「こうやって使うのよ」ウィーナはリングをくるりと回しました。

 「酸素工場も機能を停止した。破滅が近づいている。我々は二つに分かれた。地下に住むものと地上に住むものに・・・」これで人類がモーロックとイーロイに別れた訳が分かりました。

 そして次の事件が起こります。あの謎の建物からサイレンの音が鳴り響いたのです。これを聞いたとたん無表情になって歩き出すイーロイの人々。ウィーナも例外ではありません。彼らはどんどん建物の中に入っていきます。そしてジョージの目の前で扉が閉まってしまいました。すると元に戻るイーロイの人々。ジョージは彼らに「入っていった人たちはどうなる」「と聞くとはい、大方の予想通り「二度と戻ってきませんよ」という答え。

 ジョージ、ウィーナを助けるために例の穴からモーロックの地下住居へ侵入します。

 サイレンの音を聞くと条件反射的に地下へ向うイーロイの習性、これはどうやらあの核戦争の記憶に由来するものらしい。

 さあ、地下へ侵入したジョージ、なるほど地下にはパイプのような施設がありごんごんと動いております。黒い液体が噴出して池のようになっているのは石油でしょうか。そしてあるものを目撃して立ちすくむジョージ。それは大量のイーロイの白骨でした。「彼らはモーロックの家畜なのだ、成長したらここに連れ込まれて食われてしまうのだ」

 と、ここでムチを使ってイーロイたちを追い立てるモーロックが登場。「てめー、なんてひどいことしやがる」彼はムチを奪って猛反撃。しかし周囲にいたモーロックたちがぞろぞろと集まってきます。そこでジョージ、松明を作って点火、これでさんざんに奴らを驚かすのです。そしてイーロイたちが逃げだしたのを確認してから「いつまでもお前らの好き勝手にはさせん、正義は必ず勝つ!」と叫んで松明を石油の池にぽい。なんで光に弱いのにそんなもの溜め込んでいるのか解せませんが(笑)とにかくこれがぱっと燃え上がって地下住居は大火事となります。

 火達磨となってぎゃーぎゃー喚いているモーロックたち。悪行の報いであります。

 ジョージとイーロイたちは例の縦穴から脱出します。そしてジョージは「穴の中に枯れ枝をありったけぶち込むんだ!」これで火事はますます酷くなりついにはその周囲が大陥没。この辺の特撮は良くできていて嬉しくなっちまいますな。

 ジョージはもうタイムマシンを見つけることは諦めてウィーナと新しい生活を送るのだと思い定めます。ところが・・・、イーロイたちがあの例の彫像の建物の扉が開いたと知らせてくれたのです。駆けつけてみるとなるほど中にタイムマシンが見える!大喜びで駆け寄ったジョージ、ウィーナに「さあ、我々の時代へ行こう」と誘ったのですが、そのとたんに扉がどーんと閉まってしまったという・・・。おまけにモーロックの残党たちがぞろぞろ出てきた。ジョージ、仕方なしにタイムマシンを作動させ現代へ帰還します。

 到着したのは出発点よりわずかにずれた庭の端。ああ、これがモーロックたちによって動かされた距離ということなのでしょう。タイムマシンから降りたジョージ、よろばいながら屋敷に入って冒頭の場面に続きます。

 「というわけで、私は戻ってきたのだ」と話を締めくくるジョージ。ところが紳士達はまったく彼の言うことを信じていません。「読み物としてはなかなかいけるけどねえ、本当にあった話ってそんな馬鹿な」とからかわれるばかりです。ジョージはぽつりと「信じて貰えないのは分かっていたさ、自分でも信じられないのだから」

 紳士たちは夕食の礼を述べて帰っていきます。フィルビーもそれにならったのですが、別れ際にジョージが「本当にありがとう、さようなら」と念入りな挨拶をしたのが気になって屋敷へまた戻るのです。と、その彼の耳に聞こえてきたのは何かの作動音。実験室へ飛び込んでみたのですが、ジョージの姿は見えません。彼は床に何かを引きずったような跡を見つけます。その跡は庭から実験室へ続いていました。フィルビーはぽんと膝を打って「そうか、ジョージはまた出かけたのだ。彼の話は正しかった。動かされたタイムマシンを元の位置に戻してまた80万年後の世界へ、ウィーナたちのところへ戻ったのだ

 フィルビーはウィチェット夫人と共に書斎を調べ「ああ、三冊の本がなくなっているぞ。これはきっと新世界創造のために役立つようなものに違いない」フィルビーはウィチェット夫人にさよならを行って帰っていきます。エンドクレジット。

 新世界創造に役立つってどんな本なのでしょうか。やっぱり水からの伝言」とか「ゲーム脳の恐怖」とか「人類の月面着陸は無かったろう論」なのでしょうかって、それはもういいから。

 カラー・スクイーズワイド、モノラル音声。非常に画質の良いディスク。特に発色が良く鮮烈な赤に驚かされます。音質も良く買って損のないディスク(私はレンタルでしたが)と言えるでしょう。ワーナー・ホームビデオの国内版DVD。もちろん日本語字幕付。

 エロの冒険者
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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