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2010年1月29日 (金)

『怪物の花嫁』(『Bride of the Monster』 1955)

 『怪物の花嫁』(『Bride of the Monster』 1955)

 アレな意味で非常に有名な映画でありますから、もうオープニングクレジットで「ベラ・ルゴシ」、「トー・ジョンソン」と出てくるだけで大笑い。

 嵐の夜であります。ある沼の近くをさ迷っているのが狩りにきた二人の男。「この嵐は3ヶ月も続いているぞ、なんという酷い異常気象だ」そんな天気なら狩りになんか出るんじゃないと思いますけどね。嵐はどんどん酷くなっていってついには雷がばりばりと落ち始めます。「これはいかん、あの空き家に避難しよう」「ええっ、空き家ってあの幽霊屋敷のことかい」「嵐より幽霊の方がまだましだっての、さあ、行くぞ」でたどり着いてみると空き家の筈なのに電気がついております。

 おそるおそるドアを叩いてみますと顔を出したのがエリック・ヴァーノフ博士(ベラ・ルゴシ)。一度でいいからドアをノックしたらベラ・ルゴシがぬっと顔を出す、こんなシチュエーションを体験してみたいものです(笑)。二人の狩人は「すいません、嵐で困っているんです、一晩泊めてくれませんか」と頼むのですがルゴシ、にべもなく「駄目だ、駄目だ、帰れ、帰れ」おまけに彼は怪人ロボ(トー・ジョンソン)を呼んで「この二人の間抜けを追い払え」ウォーと唸るロボに恐れをなした二人は「ひゃあああ」と悲鳴を上げて逃げ出したのでありました。

 この後ルゴシは暖炉の隠し通路を通って実験室へ。馬鹿でかい機械が並んでいる実験室。この狭い通路をどうやって運んだのか説明できるものならしてみろ、実験室作ってから家建てたんかいと言いたくなりますが、まあ、このくらいでツッコミ入れてちゃこの映画は見られませんよ(笑)。

 実験室の隣には馬鹿でかい水槽がしつらえてありまして、中にいるのが大蛸であります。

 さっきの狩人二人、逃げております。いつもより余計に逃げております。よっぽどトー・ジョンソンが怖かったらしい(笑)。で、そのうち一人が足を滑らせて水路に落ち込みます。すると水槽の中の蛸がもぞもぞ。落ちた男は「ひー、助けてくれ、助けてくれ」と悲鳴を上げているのですが、ひょっとしてこれは蛸に襲われているということなのでしょうか。画面を見ている限りちっともそうは見えないのですが。

 お、やっと蛸が見えた。水槽の中の奴とは明らかに大きさも色も違う蛸が男に絡み付いております。もう一人はこの蛸に向ってライフルを乱射。しかしまったく効目がありません。さらに突如現れたトー・ジョンソンが背後から襲ってきたではありませんか。「ひえー」と悲鳴が響いて画面暗転。

 次の場面になるとライフル男、ルゴシの実験室におります。診察台に拘束されて頭に変なヘルメットを被せられているという情けない姿。ルゴシはにやにやしながら「お前を超人にしてやる。20人力の超人だ・・・もしくは他の奴らのように死ぬのだ」怪しい装置のスイッチをがちりと入れます。びびびっと電流が走って痙攣するライフルの男。装置を止めたルゴシ、聴診器を彼の胸に当てるのですが、すぐに首を振ります。どうやら、失敗してしまったらしい。失敗したら失敗したで「畜生」とか言ってもらわないと困ります。何がどうなっているのか良く分からないからです(笑)。

 場面はぱっと警察署にうつって登場したのが殺人課のロビンソン警視(ハーベイ・B・ダン)とクレイグ警視補(トニー・マッコイ)。彼らは「またもや怪物現る、二人を襲う」という見出しの新聞記事をみております。ロビンソン警視は「またこんな与太記事かいて、これ書いたの君の婚約者だろ」「ふうーむ、まったく困ったものですな」とクレイグもしかめっつら。と、そこにその困った彼女ジャネット(ロレッタ・キング)が現れます。彼女は警察に怪物について取材しに来たのであります。

 ますますしかめっ面のロビンソン警視、ジャネットに「怪物なんぞおらんよ、君の思い込みにすぎん。行方不明になった人たちはみんな流砂にでも飲まれてしまったのだろう」当然ながらそんなことでジャネットが納得するはずもなし。彼女は「ンマー、警察が駄目なら私が自分で沼に行って調べますわ」と言い出したのであります。彼女は新聞社に戻って不動産記録を調べます。そして例の屋敷が1948年に税金滞納で競売にかけられ、所有権がヴァーノフ博士に移ったことを知ったのです。

 ここでまた新たな登場人物。有史以前の生物の専門家と称するストロウスキ教授(ジョージ・ベッカー)がロビンソン警視とクレイグに面会を求めたのであります。彼は数年前にスコットランドヤードの依頼でネス湖の怪物について調べたことがあると言い出します。「結局、目撃はできなかったけれども、目撃した人はたくさんいる。つまり、今回の沼の怪物と類似点があるように思われるのです」私にはちっとも類似点があるようには思えませんが(笑)。「怪物の謎はそこにあるのかも知れない。私にも調査させてください」ロビンソン警視はその頼みを快諾。クレイグを同行させることになります。

 一方ジャネットは早速捜査に出発します。夜でおまけに酷い嵐、ジャネットはあっという間に車の運転を誤って道路わきに突っ込んでしまいましたとさ。車からよろよろ出てきた彼女を襲ったのがアナコンダ(大笑い)。驚いたジャネットは失神するのですが、その彼女を抱き上げたのは誰あろう、トー・ジョンソンでありました。彼はジャネットをルゴシの屋敷へ連れ込みます。

 次の日、やってきたのはクレイグの車。一緒に乗っているのはストロウスキ教授・・・と思いきや同僚のマーティン(ダン・ナゲル)だったという・・・。どうやら教授は同行の約束を破って一人で出かけたらしい。だったらなぜわざわざ警察に来たのでしょうか。何だか良く分からない展開であります。彼らは道路わきに突っ込んでいるジャネットの車を発見します。中にジャネットはいない、だったら歩いて町へ戻ったのだと考えた二人は街道脇のガソリンスタンドまで戻ってロビンソン警視に電話。ジャネットの行方を捜して貰ったのですが、これが当然ながら見つからない。ロビンソン警視は「わしが引き続きジャネットを探すから、君たちは教授を探せ」と命令します。

 と、ここで車がまた一台。これに乗っていたのがストロウスキ教授。彼は沼のまわりをよちよちと調べ始めたのでした。

 その頃ルゴシの屋敷で目を覚ましたジャネット。ルゴシとトー・ジョンソンが朝飯を運んできます。その時トー・ジョンソン、ルゴシの命令に逆らってジャネットに抱きつこうとしたものですから、「この馬鹿者め」とさんざんムチで打たれるという・・・。ジャネット、そんなルゴシにドン引きです(笑)。

 ジャネットはルゴシに自分が新聞記者であること、沼の怪物について調べにきたことを話します。

 ジャネットはルゴシをスルドク追求します。「あのロボという大男がマーシュ湖の怪物じゃないの」ルゴシははははと笑って「あれは単なるわしの助手ですよ。口はきけないがなかなか役にたつ。わしはあれをチベットで見つけてきたのです」チ、チベットっすか(笑)。この後ルゴシ、ジャネットに得意の眼力で催眠術を掛けて眠らせてしまいました。「ロボ、彼女を私の部屋へ連れていけ」

 この後屋敷を訪れたのはあの謎の教授ストロウスキ。彼は鍵が掛ってないのを良いことに屋敷へ潜入、いろいろ調べ始めるのです。その背後にロボが登場、てっきり襲い掛かるのかと思いきや、唐突にルゴシが出てきて「やあやあ、ストロウスキ教授、久しぶりですなあ。なぜ、こんな沼くんだりまで私を追いかけてきたので」「ヴァーノン君、我々の政府は君に戻って欲しいと言っているのだ、そして研究を続けて欲しいと言っているのだ」なんと、この教授、ルゴシを故国(どこかはっきりしませんが)に連れ戻しにきたのです。

 しかし、ここでルゴシが「分かりました、それでは帰りましょう」と言ってしまったら映画が終わってしまいます(笑)。その代わりに彼は激怒して、「なんと私の研究を認めずキチガイ扱いにして学会からも追放した国に戻れですと、私はそのせいで妻と子供とも別れなければならなかったのだ」ルゴシは怒りのあまり歌いだします。「私の国から追放された、この悔しさは忘れはしない」(ウソ)。

 焦ったストロウスキ、「私は君を探して世界中を回ったのだ。怪物が出るという噂を聞いたら君の仕業じゃないかと思ってどこへでも行った。ネス湖にも行ったぞ」ああ、そうですか(笑)「とにかく気を静めて国へ帰ろう。そして君の研究による超人軍団を結成すればわが国が世界を征服できるぞ」ルゴシは物凄い目でストロウスキ教授を睨みます。「私の超人は私だけのものだ、私が世界を征服してやる」「このキチガ×め」ルゴシの合図でロボが教授を背後からがきと抑えます。

 そしてそのまま暖炉の隠し通路を通って実験室へ。ロボ、教授を大蛸の水槽にぽいと放り込んでしまいました。自分で蛸の蝕椀を体に巻きつけた(笑)教授、「ぎゃーぎゃー助けて、ぎゃー」その様子をにやにやと眺めるルゴシです。「ふふふ、それがマーシュ湖の怪物よ、私の天才を身をもって知るがいい!」

 さて場面が変わって現れたのはクレイグとマーティンのコンビ。彼らは乗り捨てられた教授のレンタカーを発見します。クレイグは「教授はあの古屋敷に向ったのに違いない」彼はマーティンを待機させて、自分ひとりで屋敷を調べに向うのでした。ところが道らしい道もなくあたりも真っ暗、雨も降っておりますのであっという間に流砂に落ちてしまいます。おまけにワニが襲ってきた。ピストルを乱射してワニを追い払ったクレイグ、木の枝に捕まって流砂を脱出します。

 この流砂、単に穴掘って木の枝や葉っぱを敷き詰めたもの。幾ら画面が暗いと言ってもそれくらい分かりまさぁ(笑)。またワニが登場する場面はアフリカあたりで撮影されたと思しきストックフッテージを使っています。

 一方ロビンソン警視、ジャネットと同じく不動産記録を調べて件の屋敷がルゴシの所有であることを発見。ついにパトカーで警官隊と共に出動します。

 ルゴシは実験室で何やら準備中。「よし、出来た」と満足げに頷いた彼は奇妙な手つきをいたします。谷啓のがちょーんみたいな手の動きに答えて現れたのがいまだ催眠状態にあるジャネット。彼女は今や花嫁衣裳を着せられていました。ルゴシはにやにやしながら「ふふふ、君は私の手によって超人に生まれ変わるのだ。スーパーパワーと美貌を兼ね備えた怪物の花嫁になるのだ」寝台に拘束されるジャネット。目を覚まして「ひーひー、いやー、いやー、そんなのになりたくない」と暴れます。

 この時最高のタイミングで現れたのが暖炉の通路を偶然見つけて侵入してきたクレイグですよ。彼はピストルを手に実験室に飛び込み、「警察だ、彼女を解放ぐ」ロボに背後からぶん殴られて失神したという・・・(大笑い)。彼は鎖で縛られてしまいます。もはや邪魔するものはいなくなった。ルゴシは「さあ、実験開始だ」と叫んで装置のスイッチに手を掛けるのですが、この時ロボが懐から毛の塊みたいなもの(アンゴラ?)を取り出してなでるという奇妙な仕草。彼はそれを寝台のジャネットの傍らに置いたかと思うと、「ウォー」ルゴシに襲い掛かったのであります。一応、この人はジャネットに執心していて、彼女を害しようとするルゴシを許せなかったという理由は分かるのですが、あの毛皮は何?どういうこと?

 監督のエド・ウッドの好みだからとか言われても納得できないよ。

 ロボはルゴシを投げ飛ばして失神させ、ジャネットの拘束を解きます。そして代わりにルゴシを縛り付けたという・・・。彼はジャネットと彼女に解放されたクレイグが見守るなかルゴシに変なヘルメットを被せます。たまらずクレイグ、ピストルを拾い上げて「やめろ」と叫んだのですが、逆にまたまたたたき伏せられてしまいました。ロゴは最後のスイッチをがちゃりと入れます。びびびび、派手に痙攣するルゴシ。

 これで他のやつみたいに死んだのかと思ったのですが、さすがはルゴシ、この実験が効果を表して超人になってしまったのです。彼はそのスーパーパワーで拘束を引きちぎりロボに襲い掛かったのでした。うーん、この超人ルゴシ、こっちに顔見せてくれないなあ、ひょっとしたら別人かなあ、ああ、明らかに背が高くなっているぞ、わわ、足元見たら、こら、上げ底の靴じゃ、これでどたんばたんロボと戦っておるわ(大爆笑)。ルゴシ、ロボを装置に叩きつけます。すると装置がショートして、感電。ロボ、死んでしまいました。

 同時に火災が発生したのでこらたまらんとルゴシ、ジャネットを攫って逃げ出します。外に出るなり靴が元に戻っているのがおかしい。まあ、あんな上げ底の靴で荒地を歩いたらあっという間にひっくり返ってしまいますからな(笑)。後を追うクレイグ、ロビンソン警視たちも合流です。

 形勢悪しと見たルゴシ、ジャネットを捨てて逃げようとします。警官隊はロビンソン警視の命令一過、ピストルを乱射しますが効果なし。ここで飛び出したクレイグ、あれ、ルゴシの背後にいた筈なのに、なぜか丘の上からやってきたぞ(笑)。回り込むなどの描写がなかったので、これは単に位置関係を間違っただけなのかと思います。そしてクレイグ、いかにも転がしなさいといわんばかりに置いてある大きな丸い石をルゴシに向って転がします。石はルゴシを押し倒して彼もろとも、なぜか大蛸が待ち構えている水路へ。

 超人ルゴシと大蛸の格闘です。老体にむち打ってゴムの触腕を巻きつけるルゴシの捨て身の演技に涙、涙。そして唐突に破局が訪れました。蛸とルゴシに雷が落ちたのです。そして大爆発。なんで、ここで核爆発のフィルム使うかね(笑)。

 湧き上がるキノコ雲を見ながらロビンソン警視が「彼は神の領域を侵したのだ」と呟いたところでエンドマーク。あー、長かった。

 予想以上にでたらめな映画で、わたしはこんなのが大好きなのであります(笑)。

 モノクロ・スタンダード モノラル音声。画質は黒浮きが激しく闇夜という感じがまったく出ていません。音声はノイズ感がなく聞きやすいです。ファインフィルムズの国内版DVD。もちろん日本語字幕付。

 エロの冒険者
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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