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2010年1月29日 (金)

『吸血鬼ヨーガ伯爵』(『Count Yorga, Vampire』 1970)

 『吸血鬼ヨーガ伯爵』(『Count Yorga, Vampire』 1970)

 ええ、吸血鬼がLAにやってきて美女達を襲うというお馴染みのストーリーですが、安いエロがてんこ盛りで本筋とは無関係にそっちの方で楽しめるというお得な映画。こういうのを一粒で二度美味しいグリコ的ホラー映画というのでありますって、ウソですからね、誰もそんなこと言ってませんからね。

 警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

 LAの港に貨物船が到着しましてなにやら重そうな木箱を下ろしております。これを積み込んだトラックはロスアンジェルスの町をひた走りまして、何やら山の中へ。そして怪しい男によって開かれた門を潜りその姿を消したのであります。荷物の中身はもちろん棺桶、吸血鬼ヨーガ伯爵の到着だったのです。

 場面がぱっと変わるといきなり交霊会をやっているという・・・。この交霊会の霊媒の役目を果たしているのはブルガリアからやってきたというヨーガ伯爵(ロバート・クァリー)。呼び出す霊魂は先ごろなくなったばかりのドナ(D・J・アンダーソン)のママ。参加者はそのドナ、彼女のフィアンセであるマイケル(マイケル・マクレディ)、友人のポール(マイケル・マーフィー)、奥さんのエリカ(ジュディ・ラング)、ピーター(ポール・ハンセン)、クレオ(ジュリー・コナーズ)であります。

 雨は降らねども雷鳴ががんがん鳴り響く夜という誠に持って交霊会に相応しい晩、いよいよヨーガ伯爵が「おお、ドナのママの精霊よ、その存在を我々に知らしめたまえ」と口上を述べるのですが、みんないまいち、真剣みが足りません。ポールはぐーっと鼾をかいてカレンにたたき起こされ、クレオはくしゃみ(笑)。ヨーガ伯爵、ちょっとむっとして「皆さん、真剣にやってください、信じる心がないと霊はこないのですぞ、信じてそして、集中するのです!」

 その甲斐あって、窓がギーっと開いてテーブルの上のランプが点滅するといういかのもそれっぽい場面になって、ヨーガ伯爵「そら、ドナ、お母さんの霊に呼びかけるのです」ドナは頷いて「おかあさん、私、寂しい、戻ってきて、お母さん、お母さん!」ところがこれで集中しすぎたのか突然ドナが錯乱状態になってしまいました。ヨーガ伯爵は蝋燭に火を灯して「ドナ、この炎を見なさい、リラックスして、何も恐れることはない。そして私が合図したら君は元に戻るのだ、この恐ろしい記憶は消えてしまう・・・」ところが、この伯爵、心の声というかテレパシーで「私の命令に従うのだ、いつでもどこでも従うのだ」というメッセージを送っていたのです。分かっていたことですが(笑)、こいつが吸血鬼だったのです。

 ヨーガ伯爵の合図ではっと我に返ります。彼の言ったとおり彼女はまったく正常に戻っておりしかも交霊会の記憶まで失くしていたのでした。エリカはその手腕にただ凄いと感心するばかりですが、男達は「ウウーム、いくらなんでもこれは出来すぎだろう」と思っているという・・・。

 ともあれ、ドナは元に戻った。これでヨーガ伯爵は帰ることになります。彼を送っていったのがポールとエリカ。山道を延々登っていくと途中に門がある。これを開いてくれたのがやけにワンワンうるさいシェパード犬を連れたブルーダ(エドワード・ウォルシュ)という男。薄気味悪く思いながらもポールはさらに車を進めるのでした。

 一方、マイケルはドナにヨーガ伯爵がどんな人物なのかと尋ねております。「彼は母のボーイフレンドよ、死ぬ3週間前に知り合ったの」しかしここで不思議そうな顔をするドナ。「あ、あれ、あの人、母のお葬式に来ていたかしら、いや、いなかったわ、で、でも火葬する筈だった母を普通に埋葬するよう進められたような気が・・・」

 どうやら彼女の記憶には奇妙な欠落があるようです。

 ようやくポールの車はヨーガ伯爵の屋敷に到着。どうも不気味悪いものを感じていたポール、「ちょっとお茶でもいかが」という伯爵の誘いを振り切って帰途に着くのでした。しかしいくらも走らないうちに泥濘に車輪がはまり込んで動けなくなってしまったのです。「あれ、行きは大丈夫だったのになぜ、雨も降ってないのに」と首を傾げるポール。しかし動けない以上仕方ない。今夜は車の中に泊まろうということになったのでした。あ、言い忘れていましたが、彼の車は大きめのワンボックスカー。荷台でゆっくり寝られるようになってます。それどころかカーセックスだって大丈夫(笑)。

 ことを終えて眠り込む二人であります。

 ところがカーセックスを終えて眠り込むのを待っていたみたいに(笑)人影が近づいてきた。それと共に蛙やコオロギの鳴き声が耳を聾さんばかりに大きくなったのです。目を覚ましたエリカが窓のカーテンを開けてみると、はい、ヨーガ伯爵の登場であります。伯爵はドアをがらっと開けてポールを引きずりだしてぽくぽく殴って失神させてしまいます。そしておもむろにエリカに覆いかぶさって「頂くザマス」

 その後すぐに翌日へと場面が切り替わりまして、ポールがマイケルに昨夜の事件について愚痴っております。「いやー、俺、すぐにぽくりとやられて犯人見てないし、エリカはエリカで覚えていないっていうんだ」そのエリカ、どうも貧血気味ということでヘイズ先生(ロジャー・ペリー)の診察を受けております。彼はエリカの喉に二つの傷口があることを発見し、これが彼女の貧血に関係があるのではないかと推察します。さらに彼女の血液検査をヘイズ先生の上司、シャイガート博士に頼んでみると「もっと詳しく検査をしたい」という返事が帰ってきた。

 とりあえず家へ戻るエリカですが、その後容態というか状態はますますおかしくなっているようです。その彼女に電話をかけたポール、様子がおかしいことに気がついてマイケルと二人で自宅へ急行したのですが、そこで彼らが見たのは猫を丸齧りしているエリカの姿でした(笑)。「ヒーッ」仰天した二人はヘイズ先生を呼びだします。

 駆けつけてきたヘイズ先生、とりあえずポールの血をエリカに輸血します。一応意識を取り戻したエリカですが彼女は酷く混乱しており「怖いの、怖いの、でも何が怖いのか思い出せない!」

 場面はぱっと変わってヨーガ伯爵の屋敷となります。彼が地下室に下りていくというと、二人の女吸血鬼が寝ております。彼が椅子に座って待つうちに目覚めた女吸血鬼二人は、抱きついてキス。レ、レズっすか。

 また場面がエリカの自宅に移って、ヘイズ先生は血液検査したシャイガート先生の意見をポールとマイケルに伝えます。「先生はこれは吸血鬼の仕業だと言っているんだ」。当然ながらすぐには信じない二人。「吸血鬼ってあれですか、ベラ・ルゴシとか、ジョン・キャラダインとか、クリストファー・リーがやった奴で、血を吸う不死の怪物だけど、お日様と十字架には弱くて胸に杭を打たれると灰になっちゃうやつですか」なんだ、ポール、妙に詳しいな、ひょっとしてその手の映画のオタクか(笑)。頷くヘイズ。「たぶん、そのヨーガ伯爵というのが吸血鬼なのだろう」

 ヘイズ先生はいまだ半信半疑のポールに「とにかく今夜はねずの番で彼女を見張れ。きっと何かが起こる」

 夜になりました。ヨーガ伯爵の出動です。よーし、ポール、ちゃんと見張れよ、エリカの命運は君の手に委ねられたのだ・・・ってこいつ、フツーにソファーで寝てやがる(大笑い)。ヨーガ伯爵 ベッドから起き上がったエリカに招き入れられて部屋に入ります。そしてエリカに覆いかぶさって「いただくザマス」

 血を吸いながらその一方でエリカの喉のあたりをべろべろ嘗め回すヨーガ伯爵。このへんどうもオヤヂ的なスケベさがあって、本来貴族的な筈の吸血鬼の気品が台無しになっていますよ(笑)。この後ようやく目を覚ましてエリカの様子を確かめにいくポール。しかし、すでにエリカの姿はなかったのです。

 ヨーガ伯爵の仕業と直感したポールはマイケルに電話。そして自分は車で伯爵の屋敷へ急ぎます。さらにマイケルから電話を受けたヘイズ、奥さんからどうしたのかと聞かれて「仮に吸血鬼がLAにいるっていったら君は信じるかい」と奥さんは意外にも「信じるわよ、だって、新聞に沼で血を抜かれた赤ん坊の死体が見つかったって書いてあったもの」ヘイズはじゃあ、うまくいったら警察が動いてくれるかも知れないと考えて通報したのですが、そうは問屋が許さないじゃなかった卸さない。「ここ14時間で吸血鬼がいると通報してきた馬鹿は君で47人目だ」と言われて電話を切られてしまいましたとさ。

 一方、屋敷に到着したポール、こそっと侵入してエリカを探しているといきなり「ガーッ」とヨーガ伯爵が襲ってきた。ひるむ彼の背後にさらにブルーダが現れてワンハンドバックブリーカー一閃!ポールの背骨をへし折って殺害したのであります。

 この後へイズとマイケル、ドナがやってきます。「このまま居座って朝まで奴を寝かさないようにするのだ」という作戦らしい。伯爵は二人をにこやかに迎え入れてブランデーを振舞います。ヘイズは伯爵にポールとエリカが来ていないのかと尋ねたのですが帰ってきた答えはもちろん、「いや来てないですが」

 ヘイズ、その後もいろいろ話を持ちかけます。「交霊会を行われたそうですな、そっちの方にも造詣がおありで」とか「狼男の存在を信じておられるのですか」とか「吸血鬼は日の光に当たるとやばい」とかとにかく話を引き伸ばそうと必死。もう一杯ブランデーをねだったりしたのですが、ついに伯爵から「もう私は寝るので帰ってください」と追い返されちゃった(笑)。とぼとぼとマイケルのアパートメントに戻る三人です。

 ヘイズはマイケルに「奴を殺すぞ」と言われて仰天します。「いや、警察でも裁判でもあいつは吸血鬼だったなんて言えないでしょう」「大丈夫だ、杭を打てば吸血鬼は灰になってしまう。死体がないのだから犯罪にならんよ」というやけに具体的な問答がおかしい。「明日の午後2時に私のオフィスにきたまえ」と言い残してヘイズは一旦帰宅。マイケルはドナと共にお休みです。マイケル、寝る前にちゃーんと目覚まし時計をセットしておくという・・・(笑)。この時棺桶の中でヨーガ伯爵がドナに呼びかけます。「さあ、時はきたれり、起き上がれドナ」あの交霊会の後に仕込んだ命令が発動してベッドから起き上がるドナ。彼女は恐ろしいことにマイケルがセットした目覚まし時計を解除してしまったのですって、そんなことするならいっそマイケル殺しちゃえばいいのにね。

 ドナは車を駈ってヨーガ伯爵の屋敷へ急ぎます。途中でブルーダに捕まってどうやら先に血を吸われたらしいのですが、何か良くわからないので見なかったことにしておきましょう。

 目覚まし時計がならなかったので豪快に寝坊するマイケル。はっと気がついて起き出したのが午後4時半ですよ。どんだけ寝てるんだ(大爆笑)。ヘイズもまだ寝ていました。マイケルから電話を受けてびっくりしたヘイズ、「どうしてこんな時間まで寝ていたのだ」と文句を言うのですが寝坊していたのはあんたも同じだろう。ドナの妨害がなかった分、あんたの方がタチ悪いよ。

 マイケルはドナの失踪に気がついて「ヨーガ伯爵に攫われたのだ!」彼はヘイズと大急ぎで伯爵の屋敷に向ったのです。彼らは椅子や箒を壊して杭や十字架を用意したのですが、すでに日はとっぷりと暮れており伯爵が寝ているうちに殺すことは不可能になっていました。

 屋敷に到着した二人は手分けしてドナを探すことになります。しかし速攻で伯爵に見つかってしまうヘイズ(笑)。いいものを見せてあげましょうと案内されたのが例の地下広間。女が三人並んで寝ております。そのうちの一人はもちろんエリカ。激怒したヘイズは例の十字架をぱっと伯爵につきつけます。「むむむっ」と後ずさる伯爵。このまま隅に追い詰めて杭でぐさりだとヘイズはにやりとしますが、伯爵のピンチに三人吸血娘が起き上がった。彼女達はヘイズに襲い掛かって彼をずたずたにしてしまったのです。

 この女吸血鬼たちには十字架は効果ないのでしょうか。

 一方マイケルは地下通路の中に迷い込んでおります。彼は薄暗い通路で何かに毛躓いて派手に転びます。その何かとは無残な姿となったポールの死体でした。愕然とするマイケルに襲い掛かるブルーダ。しかし割りにあっさりとマイケルにナイフで刺されて悶絶するのです。

 ヘイズを始末したヨーガ伯爵。二階の部屋に監禁していたドナの元に。優しげな声で「君は死んだお母さんに会いたがっていたね、その願いをかなえてやろう」現れたのは女吸血鬼たちの一人。ああ、これがドナのお母さんだったのですか。ドナは母親が吸血鬼になっているとも知らずすがり付きます。

 さて、ようやく地下通路を抜け出たマイケル。地下広間に倒れていたヘイズを見てびっくり。瀕死のヘイズ、「ドナは上の部屋だ」と言い残して絶命します。「くそ、ヨーガ伯爵め、許しちゃおけない」と立ち上がるマイケル。と、ここで現れたのは腹に深手を負ったブルーダでした。こいつが傷にもめげずマイケルに襲い掛かるのかと思いきや出てきただけで、すぐにばたりと倒れてしんでしまったという・・・。テンポの悪い演出だなあ(笑)。マイケルはヨーガ伯爵たちがいる部屋に飛び込んで「もうこれ以上お前らの好き勝手にはさせん、正義は必ず勝つ!」と叫んで杭をぐさり。まずはドナのお母さん。さらに杭を再使用して(笑)伯爵にもぐさり。ヨーガ伯爵は世にも不気味悪いうめき声を上げてばったり倒れます。

 その姿がみるみる灰になってしまうのは定石の通り。

 屋敷から出ようとするマイケルとドナ。彼らに襲い掛かってきたのが今や吸血鬼となったエリカたち。マイケルは彼女たちを十字架で脅かし部屋に閉じ込めてしまいます。これで安心だと思った瞬間、すでに吸血鬼にされていたドナがガーッとマイケルを襲ってエンドマーク。

 オチはなかなか洒落ているのですが、展開がゆるくってあんまり楽しめなかったですね。一粒で二度美味しいって訳でもなかったようです。

 カラー、スクイーズのワイド モノラル音声。クローズドキャプションつき。画質はそれなりに宜しい。ちゃんと黒が沈むのが偉いです。モノラル音声は非常に品位が高く怪奇なムードを盛り上げてくれます。続編『ヨーガ伯爵の復活』(『The Return Of Count Yorga』 1971)とのカップリング。MGMミッドナイトムービーシリーズのDVD。

エロの冒険者
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/
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