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2010年2月 4日 (木)

『未知空間の恐怖/光る眼』(『village of the damned』 1960年)

 『未知空間の恐怖/光る眼』(『village of the damned』 1960年)
 
 古典SFの名作であります。カーペンター監督のリメイク(95年)も面白かったけれどもこのオリジナルにはとてもかないません。デヴィッド・キャラダインのドラキュラとベラ・ルゴシのドラキュラを比べるようなものです(そ、そうか?)。

 穏やかな田舎の村ミドウィッチ、草原が広がり羊がのんびりと草を食んでおります。トラクターも走り回って畑を耕しているところ。この村に大きな家がありまして、住んでいるのがゴードン博士(ジョージ・サンダース)。彼は奥さんの実兄で陸軍将校のバーナード少佐(マイケル・グイン)に電話を掛けます。彼が久しぶりに妹に会いにくるため買い物を頼もうとしたのですが、その電話の最中にぱたりと倒れ伏すゴードン博士。

 病気の発作か、心臓麻痺かと思われたのですが、なんと、村中の人々が同じ状態に陥っているではありませんか。道端で多くの人々が倒れています。運転中にそのまま失神したのか、電話ボックスに突っ込んでいる車もいます。冒頭でトラクターを走らせていたおじさんも運転席に突っ伏しており、運転手を失ったトラクターはぐるぐる回ってついに立ち木に激突。雑貨屋件電話交換局では水道の蛇口が開けっ放しになってじゃーじゃー水があふれ、こっちの奥さんは、ああ、危ない、アイロンがドレスの上でぶすぶす煙を吹いているぞ。どうやらアイロン掛けの最中に倒れてしまったらしい。

 いきなりゴードンと話ができなくなったバーナードは当然ながら心配になり、上司に許可を貰ってミドウィッチまで様子を見に行くことになります。

 車を飛ばすゴードン。途中で顔見知りのお廻りさん、ゴビー(ピーター・バグハム)が自転車で走っているのに出くわします。「おお、こらゴビーはんやないですか、自転車とはお珍しいですな、いつもはバスつこうてはるやないですか」ゴビー、「そのバスが来ませんねん、だから様子を見に来たのだす」 そこからいくらもいかないうちに二人はバスを発見。なんとバスが路肩に突っ込んでおります。ゴビー、「ああ、こら大変や、助けなあかん」バスに近寄ったのですが、途中で彼もまたふらふらと倒れてしまったのです。

 仰天したバーナード、ただちに上司に連絡、軍隊の出動を要請するのでした。

 軍隊はミドウィッチ周辺を封鎖します。そしてガスマスクをつけた偵察員を派遣、この不思議な現象の効果範囲を探ろうとしたのですが、ありゃりゃ、この人も倒れちゃった。あわてて体に巻いていたロープを引っ張って引きずり戻すと意識を回復したのですが、「あかん、これじゃ、絶対近寄れん、ガスマスクも効果あらへんって、いったい全体何がおこっとんねん」とバーナードを嘆息させます。

 ならば空から偵察じゃ。ミドウィッチ上空へ飛来した偵察機のパイロット、地上を見下ろして「ああ、人間がぎょうさん倒れてますわ、でもそれ以上細かいことはここからじゃわからしまへんなあ」じゃあ、高度を下げようということで、偵察機、そろそろと降りていくのですが、ある高度を境にやっぱりパイロットも失神。そのまま地上へ激突してしまったのです。「ああ、こっちも駄目か」と頭をかきむしるバーナード。

 ところが近くで倒れていた牛が何の前触れもなく息を吹き返したではありませんか。同じように目を覚ますミドウィッチ村の人々。あ、つけっぱなしのアイロンが原因で火事になり、失神していた人が丸こげになったんじゃないかと心配した皆さん、どうかご安心下さい。ちゃんと目を覚ました奥さんが水を掛けて火を消しましたから。まあ、その代わりにドレスが台無しになりましたけど(笑)。

 その後すぐに軍隊が村に入りいぶかしげな顔をしている村人たちを検査します。とりあえず異常はなし。しかしこの怪現象は放射能などによるものかも知れない。その場合、影響が直ぐにでるとは限らないから村人を経過観察しなければならないということになって、ゴードン博士がその任を負うことになりました。

 そしてあの怪奇現象から二ヶ月たったある日、ゴードン博士は妻のアンセア(バーバラ・シェリー)から思いがけない知らせを聞くことになります。なんと彼女が妊娠したというのです。「うちらの結婚遅かったから、子供はできひん思うとった。アンセア、でかしたで」大喜びのゴードン博士であります。

 ところが、村の女たちがみーんな妊娠していたという・・・。ゴードン博士のようなケースはまれで、処女なのに妊娠しちゃったとか、旦那が一年の出張でいなくなったのに妊娠しちゃったとか村は大騒ぎ。ついには自殺未遂をする妊婦まで出てくるしまつ。そんな中、村のドクター ウィラース(ローレンス・ナイスミス)は不気味な事実をゴードンに告げるのでした。「みんな妊娠2ヶ月やで、みんな、あの失神事件の時に受胎したみたいや」「なんやて、それじゃ、わての子供じゃないっちゅうことかいや。いったい何が起こっとるんねん」

 不安のどん底に叩き込まれるミドウィッチ村であります。夜な夜なパブにミドウィッチの男が集まってくらーい顔で「いっそみんな死産だったらええのに」いや、それでは映画が終わってしまいます(笑)。

 それから十月十日が立ちましていよいよ赤ちゃんがおぎゃあとお生まれになります。妊娠中、あれほど不安がっていたアンセアもこの授かりものに大喜び。おまけに、近所の八五郎さんから「昔から親に似ぬ子は鬼っ子などと申しますが、額の辺り、眉毛の辺はお父様そっくり、口元鼻つきはお母様に生き写し。総体を見渡したところは、先年お亡くなりになったお祖父さまに瓜二つ、長命の相がございます。『栴檀は双葉より芳し』『蛇は寸にしてその気を現す』 わたくしもこういうお子さんにあやかりたい、あやかりたい」と誉められたりして、「うち、産んでよかったわ」と涙ぐむのでした。ゴードンとアンセアはこの子をデヴィッドと名づけます。

 他のお子さんたちもぞくぞくお生まれになる。ドクターは彼らを診察して、「髪の毛、つめの形がえらい違うわ、それに成長が早すぎまっせ。それに目つきもなにか気になりますわ」なるほどどこかフツーと違う赤ん坊たち。そして奇怪な事件が起こります。赤ん坊にミルクをやろうとしたアンセア、うっかり温度を測るのを忘れて熱いまま与えてしまったのです。ぎゃあと叫んで吐き出したデヴィッド、奇妙な目つきを致します。これに操られるかのように熱湯に腕をつけるアンセア。

 幸い、悲鳴を聞いて駆けつけてきた乳母やゴードンに抑えられて軽い火傷を負っただけで済みましたが、怪奇な現象はこれで終わる筈もありませんでした。

 ぐいぐい成長する赤ん坊たち、もはや、赤ん坊ではなく、幼児になっております。彼らは異様な知能の高さを発揮し、ゴードンとバーナードが与えた東洋のからくり箱をたやすく開けてしまいます。おまけに一人の子供が何かを知るとその知識は他の子供たちにも伝わるようなのです。テレパシーで知識を交換し合っているということでしょうか。そしてあの操る能力はさらに高くなっており、からくり箱を奪って逃げようとしたいたずら小僧を金縛り状態にし、箱を戻させたりするのです。

 3年後、立派な少年少女に成長した子供たち。しかし彼らの存在はいまやミドウィッチ村にとって悩みの種でした。彼らにちょっかいを出したほかの子供が奇妙な事故に会うようになっていたのであります。しかも彼らはどうやら人間の心が読めるらしく、それでますます嫌われていたのでした。

 これをたいそう心配しているのがバーナード少佐で、彼はゴードン博士に「あの子達には高い知能があるわ、でも底意地悪いでー、何するかわからへんし、危険や」ゴードン博士はもう反論。「そんなアホなこといいないな、あれも人間や、真心で接すればそのうち心を開いてくれるわ」

 二人の意見は平行線をたどるばかり。そのまま二人はロンドンで行われた防衛会議に参加します。そこで報告されたのはこの不気味な失神、妊娠事件はミドウィッチ村だけではなかったということ。オーストラリア北部の町でも失神事件は発生し30人の子供が誕生したというのです。そして不可解なことにみんな誕生から10時間以内に死亡していたのでした。あるイヌイットの村では10人の子供たちが誕生。しかし、黒髪の親から金髪の子が生まれるのはタブーだということで全員殺されます。そしてソ連では二件が発生していました。そのうちの一件は他と同じように死亡したのですが、残る一件の子供たちは生存。政府機関によって高い教育を受けているそうであります。

 会議に出席していたカーライル博士(キース・ピオット)この子供たちは突然変異ではないかと主張します。またスミス教授(ジョン・スチュワート)は別の天体から特殊なエネルギーが放射されたのだという説を提示。感官諤々の議論となるのでありました。

 この種の議論に決着がつくわけもなく、業を煮やしたバーナード少佐、「あの子達は早急に隔離せえへんとあきませんな」しかし、やはりゴードン博士が反対して、「あんた、そんなことしたら科学上の重大なチャンスを失ってしまうがな。子供たちの脳は集団知能ですねん、一人が知ればその知識は残り全部の子のものとなる。これを上手く利用すれば戦争や飢饉・疫病をなくすことだって夢じゃおまへんのや」

 ゴードンは村の一軒家に子供たちを集めて集団生活をさせることを提案します。そして彼自身が子供たちの教育にあたると言い出したのでした。バーナード少佐はなおも反対したのですが、このゴードン博士の案が採用されることになったのであります。

 懸命に子供たちを教育するゴードン。しかし、その努力は報われませんでした。彼らのパワーは日に日に増大し、デヴィッドは「前は駄目だったけど、今なら飛行機まで力を届かせることができますよ、お父さん」と非常に不気味なことを言い出します。

 そして決定的な事件が起こりました。村人 エドワード・ポールの運転する車が子供たちの一人を危うく轢きそうになったのです。何も怪我は無かったのですが、子供たちの怒りが爆発。光る目でエドワードを睨みつけると、操られた彼は車に再び乗り込んで発進。そのままレンガ塀に激突してしまうのです。車が爆発してもちろん、エドワード死亡。

 村でこの事故に関する裁判が開かれます。一部始終を目撃してアンシアが証言台に立つのですが、どうやら子供たちに操られたらしく、肝心の部分の記憶がありません。結局、この裁判は子供を轢きそうになったショックで錯乱したエドワードがレンガ塀に激突したということで決着します。しかし、これに納得いかなかったのがエドワードの兄、ポールでした。彼は立ち上がって叫びます。「弟はこのくそ餓鬼どもにやられたのや、この人殺しめ」

 ポールの怒りは収まらず、家からライフル持ち出してきたのであります。彼らは歩いている子供たちにライフルの狙いを定めます。これを見て仰天したゴードン博士は彼に走りより、「あかん、銃やら持ってきて何するつもりやねん、やめなはれ、やめなはれ」ポール、しぶしぶと銃を降ろしてその場を立ち去ろうとしたのですが、子供たちがそうは問屋が許さないじゃなかった卸さない。彼らの目がぴかーっと光ります。そして操られたポール、自らライフルの銃口を喉もとに当ててズドン。頭をふっ飛ばしてしまったのです。

 さらにバーナード少佐にロンドンのレイトン将軍から恐ろしい知らせがもたらされます。ソ連が核砲弾であっちの子供たちが暮らしていた村を攻撃したというのです。村はすっかり子供たちに操られ、軍隊で鎮圧しようとしても同士討ちをさせられる。ならば遠距離から警告なしで村ごと消滅させるしかないというソ連の苦渋の選択だったのです。

 そしてパブで飲んでいた村人たち、その中の一人が酔ってメートルを上げ、「あいつらの思い通りにさせたらあかん、みんな殺されるで、やられる前にいてもうたれ!」「おお、いてもうたれ、いてもうたれ」10数人がたいまつを手に子供たちが住んでいる屋敷へ向かいます。しかしソ連の軍隊さえころりとやられてしまった相手に暴徒が敵うすべもなし。先頭に立っていた一人がデヴィッドの光る目にやられ硬直します。この時落とした松明の炎が彼の体に燃え移ってしまいました。熱さに目を白黒させるこの男、しかしデヴィッドの力で動けません。とうとう生きたまま丸こげになってしまいました。

 この光景を目撃したバーナード、あまりの凄惨さに息を呑みます。そして我慢できなくなった彼は子供たちの家に突入、今の行為を問いただすのです。「あれは人殺しじゃ、おまえら、なにしてけつかる!」デヴィッドは涼しい顔で答えます。「法律は我々を守ってくれません。外国の仲間が殺されたことを知っています。我々はなんとしても生き延びなければなりません。どんな犠牲を払ってでも、あなたにも邪魔はさせませんよ」子供たちの目がぴかーっ。バーナード、硬直してしまいます。

 もっともこれは子供たちの警告でした。まもなく元に戻るバーナード。その時、ゴードンの家にふいにデヴィッドが現れました。彼は驚くゴードンに「お父さん、攻撃を避けるため我々は出発します。繁殖可能になるまで隠れるのです。ですから、お父さん、脱出と隠れ家の手配をお願いします。だまそうとしても無駄ですよ」

 ゴードン、これで決意を固めた様子。彼らが怪物になるのを放っておいたのは自分だ、もうこれ以上彼らの好き勝手にはさせん。ゴードンはアンシアとバーナードをロンドンに行かせるのでした。そして彼はダイナマイトを使った時限爆弾を用意、これで子供たちを吹き飛ばそうというのです。

 子供たちの屋敷へ赴きます。でも普通なら考えを読まれて爆弾の存在を察知される筈ですが、そうはなりません。何故ならゴードンは「レンガの壁」という言葉を一心不乱に考えることで心を読まれることを防いでいたのです。彼が何かを隠していることに気がついた子供たち、目をぴかぴか一斉に光らせて思考を探ろうとします。この攻撃にゴードンが考えているレンガの壁がぐらぐらとゆれ、ヒビが入り始めました。心理障壁の揺らぎを崩壊するレンガの壁にたとえた秀逸なヴィジュアルイメージです。

 車でロンドンへ向かっていたアンシア。言いようのない不安を覚えて車をUターンさせます。

 耐えるゴードン、あと一分だ。さらに激しく揺れるレンガの壁、ああ、ついに崩れて爆弾が見えた。はっとする子供たち、その瞬間、セットしておいた時刻になってダイナマイトがよー、ダイナマイトがよー、大爆発。その炎を見たアンシア、全てを悟って絶叫するのでした。

 燃える屋敷。その中から怪奇な目が子供たちの数だけ飛び出してきて・・・エンドマーク。

 ソ連軍が謎の子供たちを村ごと核砲弾で蒸発させてしまうというあたりに時代を感じさせますなあ(笑)。私、そういうの大好きです。

 モノクロ ビスタのスクイーズ・ワイド画面。モノラル音声。画質に不満はありません。黒も良く沈んでおり端正なモノクロ画面になっております。台詞の通りも良く大変に聞きやすいものです。ワーナー・ホーム・ビデオの国内版DVD。もちろん日本語字幕付。『続・光る眼/宇宙空間の恐怖』(『Children of the Damned』  1963)とのダブルフィーチャー。

 エロの冒険者
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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